自分だけの世界観を探して

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誰かの作品を見ていると、ふと羨ましくなることがある。

色使いや構図、描かれているモチーフにまで、その人らしさが表れていて、ひとつの世界がしっかりと完成しているように感じるからだ。

絵を見ただけで、どんなものが好きなのか、どんな雰囲気を大切にしているのか、なんとなく伝わってくる。いろいろな作品を描いていても、どこかに共通するものがあって、それがその人ならではの世界観になっている。

みんなしっかりと自分の世界観を持っているから凄いなぁ、と思う。

それに比べて、自分の絵はどうだろう。

描きたいものはある。好きな雰囲気もある。こんな絵を描いてみたいという憧れもある。頭の中では、いろいろなイメージが浮かんでくるし、描きたいものがまったく思いつかないわけでもない。

ところが、いざ描き始めると、どうにもまとまりがない。

構図を考えているうちに別のアイデアが浮かんできたり、色を塗っている途中で最初に考えていたイメージから離れてしまったり。ひとつひとつの要素は好きなのに、組み合わせてみると、どうも噛み合わない。

この色は好き。でも、こっちの色も使ってみたい。
この構図もいいけれど、別の配置にしたらもっと面白くなるかもしれない。
そうやって手を加えているうちに、最初は何を描こうとしていたのか、自分でも分からなくなってしまう。

気がつけば、あれもこれもと詰め込んだ、まとまりのない絵になっている。

まるで空中分解しているようだ。

もちろん、描いている途中でアイデアが変わること自体は悪いことではないと思う。思いがけない発見があったり、最初の予定にはなかった表現が面白く感じられたりすることもある。

ただ、そうした変化をうまくひとつの作品にまとめられない。好きなものを集めているはずなのに、それが自分らしい作品につながっているのか分からない。

そうなると、自分の世界観というものが、いったいどこにあるのか分からなくなってしまう。

そもそも、自分の世界観とは何なのだろう。

特定の色をよく使うことなのか。決まったモチーフを描き続けることなのか。それとも、作品全体に流れる雰囲気や、描くものに対する考え方のことなのだろうか。

きっと、ひとつだけではないのだと思う。

誰かの作品を見ていると、その人の世界観は最初から完成されていたように感じる。でも、実際には、何度も描いて、試行錯誤して、好きなものを見つけたり、逆に自分には合わない表現に気づいたりしながら、少しずつ形になってきたものなのかもしれない。

そう考えると、今の自分に世界観がないように感じるのも、まだその途中にいるからなのだろうか。

誰かの絵を真似したいわけではない。好きな作家さんの色使いや表現に憧れることはあっても、最終的には自分にしか描けないものを見つけたいと思っている。

けれど、誰かの作品に刺激を受けるたびに、あんな表現もいいな、こんな描き方もしてみたいな、と気持ちが揺れてしまう。

いろいろなものに惹かれるからこそ、ひとつの方向に絞るのが難しいのかもしれない。

だからといって、今の段階で無理に画風を統一したり、描くものを限定したりする必要はないのかな、とも思う。

好きな花を描いてみる。季節の移り変わりを絵にしてみる。鮮やかな色をたくさん使ってみたり、いつもとは違う落ち着いた雰囲気に挑戦してみたり。ときには、これまで描いたことのないモチーフを取り入れてみるのもいい。

そうやっていろいろな表現を試していくうちに、自分が本当に好きなものや、自然と繰り返し描いてしまうものが見えてくるかもしれない。

以前描いた絵を振り返ったとき、意識していなかった共通点に気づくことだってあるだろう。

自分ではバラバラだと思っていた作品の中にも、実は共通する色や雰囲気、モチーフが隠れているかもしれない。

今はまだ、それらをうまくつなぎ合わせる方法が分からないだけなのかもしれない。

遠回りに見えても、描いてきたものは決して無駄にはならないはずだ。

絵を描くことは、上手になるためだけのものではない。自分が何を好きで、何を表現したくて、どんなものに心を動かされるのか。それを知っていく時間でもあるのだと思う。

だから、まとまりのない絵を描いてしまったとしても、それだけで失敗だと決めつけるのはやめておきたい。

思い描いたとおりにならなかった作品にも、次につながる発見があるかもしれない。今は気に入らない部分も、いつか別の作品を描くときに役立つかもしれない。

もちろん、いつかは自分らしい表現を見つけたい。

自分の絵を見た人に、「あ、この人の絵だ」と感じてもらえるようになったら嬉しい。名前を見なくても、色使いやモチーフ、作品から伝わる雰囲気で、自分の絵だと分かってもらえる。そんな作品を描けるようになれたら、きっと素敵だと思う。

でも、そのために今すぐ答えを出す必要はないのだろう。

ひとつの世界観にたどり着くまでには、いろいろな道があるはずだ。寄り道をしたり、途中で方向を変えたり、ときには振り出しに戻ったりすることもある。

今の自分は、まだその道の途中にいる。

相変わらず、描きたいものは増えていくし、構図や色使いに迷うことも多い。せっかく描き始めたのに、途中で方向性が分からなくなってしまうことだってある。

それでも、描くことを楽しみながら、少しずつ試していけたらいい。

いつか振り返ったとき、バラバラだと思っていた作品たちが、実はひとつの道につながっていたのだと気づけるかもしれないから。

今はまだ、自分だけの世界がどこにあるのか分からない。

空中分解を繰り返しながら、あれこれ迷いながら、それでも描き続けていく。

いつかその先に、自分にしか描けない世界が見つかったらいいな。

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