とんかつを作った。
作り方はいたって普通。
豚肉に下味をつけて、小麦粉、卵、パン粉をつける。あとは油で揚げるだけ。
特別な材料を使っているわけでもないし、秘密のレシピがあるわけでもない。
それなのに、今日のとんかつは「特製」だ。
なぜなら、いつもより少しだけ気持ちを込めて作ったから。

料理は不思議だと思う。
同じ材料を使って、同じように作ったとしても、その日の気分や、誰のために作るのかで、なんとなく違うものになる。
忙しい日に、とりあえず作るご飯もある。
何を作るか考えるのも面倒で、簡単なもので済ませてしまう日もある。
でも今日は、ちょっと違う。

肉の厚さを見ながら切ったり、衣がきれいにつくように気をつけたり、揚げる時間を少し考えたり。
一つ一つは大したことではない。
それでも、「おいしく食べてもらえたらいいな」と思いながら作る。
それだけで、普通のとんかつが少し特別なものになる気がする。

たぶん、料理の「特製」というのは、特別な材料や技術のことではないのだろう。
作る人の気持ちが、ほんの少し入っていること。
それだけで十分なのかもしれない。
さて、揚げたてのとんかつを切ってみる。

衣はサクサク。
中はちゃんと火が通っている。
見た目も、まあまあいい感じ。
あとは食べてもらうだけ。
「おいしい」と言ってもらえたら、それで今日の特製とんかつは完成だ。
